昔の東京の映画館の名画座は、丸1日座り続けていようが、ずっと眠っていようが何をしても構いませんでした。料金も「3本 500円」なんて値段があった頃もあり、暑い夏は、涼みに映画館に行くことが多かったです。
そこで眠り、たまに起きると映画が上映されている。「おや、映画? ああ、ここは映画館か」と気づき、少し見て、やはりつまらないので、また眠るというように過ごす日がよくありました。その頃の映画館は、このように眠って休むのが主な目的でしたが、「見ようと思えば映画も見られる」というお得感もありました。
今から 30年近く前だったか、東京の新宿だったかどこだかで、やはり映画館の前を歩いていましたら、「花嫁はエイリアン」という映画のポスターがありました。
「このタイトルはひどい・・・けれど、ひどすぎて忘れることができない気がする」
と思いながら眺めていました。
これに関しては、ポスターのタイトルだけで満足してしまい、映画は見なかったのですが、その日以来、「○○はエイリアン」というタイトルに憧れていました。
演劇のようなものをやっていた時代には使う機会がなく、その後もなかなか機会に巡り会うことができませんでしたが、それから二十数年を経て、今日ついに「日本人はエイリアン」というタイトルを思いつき、ここに初めて使った次第であります(何という無駄で長い前置き)。
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日本人の欧米人からの「潜在的」な見られ方
まあですね、今回のタイトルそのものは非常にいい加減なものなのですが、そもそも、冒頭の「日本人は古代火星人の直接の子孫なのか?」というニュースというか記事は何なのかといいますと、アメリカの比較的有名な UFO メディアに、「 UFO サイトニング・デイリー(UFO Sightings Daily)」というものがあり、その 9月15日の記事に、
「火星の建造物と類似している日本の古代の建造物」
(Ancient Structure In Japan Similar To Structure On Mars, Sept 2016)
という記事が投稿されたことに端を発するものです。そこにある写真は、下のものでした。
・ADG
火星で見つかったものという、このものは、いわゆる「地質的な造形」と思えるもので、グーグルアースでは下のように表示されます。周囲に何もない平地にポツンと出現した感じです。
Google Earth 座標 36°7’45.64 “N 139°28’52.95” E
・ADG
これが発見されたのは2年前だそうですが、最近になって、先ほどのサイトなどで取り上げられて以来、再び話題にされることが多くなっているようです。
NASA はこの地形に関して、断層運動などで地表に浮き上がった地層が、何億年もかけて周囲の浸食などでこのような形になったのだろうと見解しています。
まあ、そういうようなもんなんでしょうけれど、私がこの一連の UFO やオカルト関係のサイトの記事に興味を持ったのは、多くの人たちが、まるで、
「日本人なら宇宙人の末裔でもおかしくないのかも」
というような「空気」を文章中にあらわしていることでした。
おそらく、彼らから見て、それは良い悪いというような価値観とは別に、「日本人という存在」にいろいろと思う部分が潜在的にあるのだろうなと。
たとえば、 UFO サイトニング・デイリーには、以下のような下りがあります。
日本人は、他の文化圏と違うものを数多く持ち、他の国と比べると、(日本人としての)統一性が大きい。
というようにあるのです。
まあ、今となっては「統一性が大きい」かどうかはよくわからないですが、そういうように見ている人たちがいるということを感じました。
これは実は今までも人生の中で感じることはありました。
それはともかく、そういう欧米の人々の、何と表現すればいいのかわからないですが、「日本人に対しての特別感」というものは、逸脱し始めると、今回の「日本人は火星人の直接の末裔かもしれない」というような、どうしようもない展開にもなりがちなのですけれど、それにしても、アメリカの人たちが日本人を取り上げた際の逸脱は本当にものすごいです。
たとえば、未来予測プロジェクトとして、インターネットの書き込みなどからキーワードを収集し、「ネットワークにいる人々(英語圏)の全体の無意識の志向性」を未来予測として描き出そうとする試みの「ウェブボット」というものがあります。
当たる当たらないでいえば、具体的な日付けとか場所とかは全然当たらないのですが、しかし、私にとってみれば、これはとても「未来の地球を現している」ものだったのですが、たとえば今から7年前の 2009年9月に配信されたウェブボットには、唐突に以下のような下りが出てきます。
2009年09月15日配信分のALTA レポートより
Web Bot / Changing in language precede changes in behavior
・日本では古代の日本文化のいわばルネッサンスのようなことが起こり、お身儀などの伝統的な風習に込められた深いニュアンスや、その象徴的な意味が再認識されるようになる。これは世界に広められる。
・ 「お辞儀」というキーワードは宇宙関連のカテゴリーでも出現する。それはエイリアンとのコンタクトが 行われるとき、日本文化の礼儀作法を用いてコミュニケーションが行われるようになるからである。日本文化の礼儀作法を土台に、エイリアンとの間の相互理解が可能となる。
・この日本式礼儀作法とその思想は、今後100世代、2000年にわたって異なった種の間でコミュニケ ーションが行われるための基本的な方法となる。エイリアンの未来のガイドブックには、地球に到着すると、最初に「日本シンボル大学」で教育を受けた人々の出迎えを受けると書かれることだろう。
逸脱しているでしょう。
しかもですね。この文章の前に、日本についてのことが書かれているというのならともかく、ここまで「まったく日本のことは出てこない」で、ここで突然出てくるのです(ウェブボットには日本の記述は非常に少ないです)。
読んでいて、少し混乱さえする下りでもありました。
こういうような欧米人のえがく、「日本人についての逸脱」は、それまでの理路整然が吹き飛ぶように唐突に出てきたりします。
たとえば、先ほどの UFO サイトニングス・デイリーの記事を取り扱った冒頭のモーニング・ニュース USA の記事は以下のようなものです。
Alien News 2016: Japanese Are Direct Descendants of Ancient Martians?
MORNING NEWS USA 2016/09/16
日本人は古代火星人の直接の子孫なのか?
エイリアン関係のニュースにおいて、日本人がその見出しに出てくることや、さまざまな国の人々の心に印象を刻むことはそれほど珍しいことではない。
しかし、最近提示されたグーグルアースからキャプチャされた1枚の写真は、地球の過去に関してのすべてを、そして、地球外生命の地球への到来に関するすべてについての考えを変えてしまうものかもしれない。
あるいは、地球の古代の人類に関してについてもだ。
その画像は火星の表面にある構造体で、ある構造物と不気味な類似を見せている。
グーグルアースでは 36°7’45.64″N139°E の座標に写っている。
その構造は、ドーム状の岩につながる3つの顔を持つ石のピラミッドのようなものからできているように見える。
メディア「 UFO サイトニングス・デイリー」は、この火星の奇妙な構造体は、2年前に撮影されたものであると報告している。
この何もない平野に横たわっている構造体は、そのベースに、円形の形成体と傾斜した直線のエッジを持っているように見える。
UFO サイトニングス・デイリーは、この構造体の形と同様のものが、日本の古代の建造物と似ていることについて、世の中の UFO 愛好家たちが話題にしている陰謀論への興味については特に嫌悪していない。
その類似した日本の構造体は、西暦 250年から 538年まで続いた「古墳時代」に建造されたと考えられている。
日本の古墳と、火星の構造体は、未知の同じ集団によって建造された? そして、その日本の古墳の建造者たちは、荒涼とした荒れ地となる前の古代の火星の人々だった?
もし、そうなら、火星にこの建造物を建てた人々の末裔は現在どこかにいて、そして、何らかの方法で、日本人はその火星人とつながっているというのだろうか。
ここまでです。
ちなみに、記事には「古墳」とありますが、この形は、いわゆる前方後円墳というものだと思われ、そのあたり、Wikipedia によりますと、前方後円墳は、
> 日本列島に広く分布し、約4,800基が存在する
というように数多くあるもののようです。
また、この古墳時代は、「日本で何が起きていたのか、記録に残っていない時期」でもあります。
古墳時代 – Wikipedia
古墳時代は、現在のところ一般的に、古墳時代は3世紀半ば過ぎから7世紀末頃までの約400年間を指すことが多い。
西暦266年から413年にかけては、中国の歴史文献における倭国の記述がなく詳細を把握できないため、この間は「空白の4世紀」とも呼ばれている。
この時期も「鎖国的」な感じの、日本にとってはいい時代だったようです。
それはともかく、この記事を書いた人も「日本人ならあるんじゃね?」的な雰囲気を全面に漂わせながら書いている感じもして、読んでいるうちに私も、「それってあるんじゃね?」的な蒙昧に陥りそうになりますが、ちょうど、つい先日、
・「地球の人類はみな同じ言語を話している」 : 国際的研究で判明したこの衝撃の事実から、むしろ浮かび上がる「日本語」という存在の奇妙さ
2016/09/14
という記事を書きまして、
「日本語ってのは改めて奇妙だ」
ということを強く実感したばかりでした。
周辺のアジア国とDNAのつながりのない日本人
その記事に抜粋しましたように、最近の大規模な語学的研究により、「世界の言葉は基本的に共通しているかもしれない」のです。日本語以外は。
旧約聖書に、
『創世記』11章01節
世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。
という下りがあり、聖書の世界では「もともと、すべての世界の人々は同じ言葉を話していた」ということになっていて、それが「神」により、バラバラの言語にされたとあります。こういうようなところから考えますと、聖書の言葉通りにとらないにしても、学術的な研究で世界の言葉に大きな共通項があるということは理解できなくもないです。
ところが、日本語は、その全体との接点や共通点がないも当然のように、共通点がとても少ない。
だとすれば、創世記にある「世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた」というところの、その世界には「日本人が入っていないのでは?」という思いがしても、それほど不思議な思考の飛躍でもないかなと。
そしてですね、今回、エイリアン関係というような唐突な記事を紹介しているのですが、「日本人の出自」に関して、最近、学術的に非常に「わからなくなってきている」ということがあるのです。
今回、そこに詳しく入るの時間がないのですが、いつかふれてみたいと思いますが、昨年 2015年に、
「縄文人の核 DNA の解析」
というものがおこなわれたのです。
縄文人の DNA の解析は今までもおこなわれていますが、今までおこなわれてきたのは、細胞器官のミトコンドリア内部にある「ミトコンドリア DNA 」だけだったのですが、ミトコンドリア DNA というのは、塩基の数が少なく(1万6000個ほど)、得られる情報が少ないのです。
それに対して「核 DNA 」には、 30億ほどの塩基があり、これを解析することができれば、非常に詳細な「縄文人のルーツ」のデータを得ることができるのですが、核 DNA を取り出すのは大変に難しいことでした。
ところが、日本の科学者たちにこの超偉業をやった方がいたのです。
国立遺伝学研究所の齋藤成也教授などを始めとする研究チームが、出土した縄文人の歯から核 DNA を取り出し、解析することに成功したのですよ。
少なくとも、これで、「 DNA 解析の上からは、ほとんど完璧な縄文人のルーツ」がわかるということになったはずです・・・。
ところが、これは、2016年4月に放映された NHK Eテレのサイエンス ZERO 『日本人のルーツ発見! ~“核DNA”が解き明かす日本人~』で放映されてもいましたが、私たち日本人は、地理的に考えれば、中国大陸からの DNA の反映を強く持っていても不思議ではないのですが、上のサイエンス ZERO の内容をまとめられている「サイエンスZERO「日本人のルーツ」」から抜粋しますと、
解析の結果、我々現代日本人の DNA は中国大陸の人々の DNA とは違うルートからの DNA が混ざっている事がわかった。
ということがわかり、結果としては、
オリジナル縄文人の DNA はアジアのどこにも見つからないもので、まったく新しい場所から発生している可能性がある。
ということになってしまい、縄文人の出自は「ユーラシア大陸のどこからやってきたのかもわからず、調査も振り出しに戻ってしまった」ということになっているのが現状なのです。
要するに、今まで想像されてきた日本人の辿ってきたルートは間違いであり、最新の DNA 解析がはじき出した結果は、
「日本人のルーツがまったくわからなくなった」
ということなんです。
これが最新の科学研究によって得られた紛れもない結果です。
これまで、アフリカに現生人類が登場して、そこから世界に広がったルートの予測としては、ミトコンドリア DNA の解析からは、下のようなものでした。
しかし、日本人に関しては、このルートではなかった、と。
このルートだと、日本人は、いろいろな国からの DNA の反映を受けて当然なのですが、「それがそうではなかった」ということで、日本人がどこから来たのか本格的にわからなくなってきているということになります。
そして、国立遺伝学研究所の研究チームなどが、日本人のルーツして考えられる可能性をいくつかあげていますが、その中に、
アフリカ大陸から(来た)まだ知られていない全く未知の DNA が縄文人として存在した可能性
というものがあるのです。
まあ、今回の火星とかはともかくとして(エイリアンはアリということにしておきましょう)、世界の人々がアフリカ単一起源のルートの中で世界に広がっていった「のとは別のルート」が存在した可能性がそれなりに高いと思われます。
つまり、もしかすると、「日本人はある日、突然、この地球上に登場した」可能性だってあるのではないかと。